(※以下は、2006/7/5付ブログエントリーに、多少の加筆修正をしたものです。)
「病院へ行ったから安心」・・ですか?
いきなり偉そうな見出しですが・・
これは、私が強く言いたいことのひとつです。
なぜならば・・
病気に気付かないことは、手遅れにしてしまう一番の要因です。
ですが、「異変に気付いて早めに病院へ行ったのに、手遅れになってしまった」・・というのは、
飼い主が安心してしまうことが原因の場合があるからです。
せっかくの完治のチャンスをみすみす逃してしまうことは、単なる後悔だけでは済みません・・
痛み苦しむのは、最愛の我が子たちなのですから・・・
「飼い主が知識を持つ必要性」でも書いた通り、動物の病気は、概ね進行が早いようです。
早期発見ができても、その先で躓いてしまっては何にもなりません。。
私はそれをやってしまったからこそ、強く言いたいのです。
ここで言う「一般的な飼い主」・・というのは、「我が子の様子がおかしければ病院へ連れていく
だけ」・・という方のことです。
何も、それが酷い飼い主と言うのではありません。
「普通」ということです。
それでも全く問題ないケースがほとんどだと思いますが、命に関わる重篤な病気だった場合は、「それではダメ」なのです・・
乙音が発症してから、2週間くらいの間の私は、普通でした。
その結果、乙音はどうなってしまったのか、当時のことを挙げて書いてみます。
乙音を手遅れにしてしまった、(一般的な飼い主の)私の行動
乙音の闘病生活において、私が飼い主として失敗してしまったと思っているのは、次の事柄です。
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失態@ 家で様子を見過ぎたこと。
失態A 早期に原因疾患を突き止めなかったこと
失態B 腸の疾患を疑っていたのに、便の検査を依頼しなかったこと
(飼い主が疑わしいと思うことは、納得するまで検査してもらうこと)
失態C 「対症療法」を「治療」と錯覚したこと
失態D 早期に大学病院へ行くことを考えなかったこと
(掛かりつけの病院での検査に限界を感じたら、大学病院へ)
失態E 血液検査の項目を把握していなかったこと
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悪い例として、私がどうだったのか、書いてみたいと思います。
具体的に、乙音の発症からの経過と照らし合わせてみます。
ご自身ならばどうするか、考えながら読んで頂くと宜しいかと思います。 (少々長いです)
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【発症】
2006/2/24〜2/26
嘔吐が続く(1日1〜2回※確認できた回数)、便秘
※体重:2.2kg
2/27 初診 血液検査では肝機能障害を認めず。
しばらく経過観察とのこと。
昔からたまに嘔吐することがあったので、最初はいつものことだと思っていました。
いつもと違ったのは、3日連続して嘔吐したことです。
それも1日に1〜2回(3日間で合計4回)で、
激しい嘔吐ではなく、食べた物を少し吐く程度でした。
それ以外に、便秘の症状があったため、病院へ連れて行きました。
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今でしたら、2日連続で吐いた時点で連れて行くとは思いますが、
病院へ連れていくのが特別遅かったとは思っていません。
問題は、2/27の初診から3/6に再診するまでの1週間、
「
家で様子を見過ぎたこと」です。
食欲は減退していた感じはありましたが異常と感じるほどではなく、初診での検査で、
1)血液検査では肝機能に問題ない
2)便秘は気にしなくていい(お腹の張りは便秘)
ということでした。検査(血液検査・エコー)をし、「異常なし」と言われています。
この頃は、病気についてあまり調べていませんでした。
「素人が下手に調べるより、先に病院へ連れて行った方が確実」という判断でした。
獣医師の説明は、「肝疾患が恐いから調べたけれど異常はないので、気にしなくていいでしょう」でした。
便秘することはなかったので、それが気になって聞いてみましたが、「犬は数日便秘しても何も問題ない」と言われました。
私は、過去3年間の受診経過から、この獣医師を信頼していました。
「肝臓に問題がないのなら、重篤な疾患ではないだろう」と変に安心してしまいました。
獣医師の言葉と、8年間病気をしなかった乙音の丈夫さに過信がありました。
それで、経過観察をしていたのです。
※ここまでのところで、一般的な飼い主としては、特別間違った判断をしていなかったと思っています。
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3/6
再診 多飲多尿・お腹の張り大
3/7 再診
レントゲン撮影→胸水発覚 胸水成分分析→ほぼ水
血液検査→肝機能・心臓機能の異常値は見られず
※胸水成分分析・血液検査から、
心臓疾患の疑いは低いとのこと。
但し原因不明(ホルモン失調?)
3/8
再診(お腹の張り大のため)
血液検査→TP(血漿総タンパク)=3.1g/dL
【低タンパク血症】と診断される。
3/10
再診 多飲多尿・お腹の張り大、
便秘(排便時は下痢混じり)
体重が減り出す 2.2kg→2kg 食欲がややない
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1週間、経過観察をしました。
その後、嘔吐はなく、食欲もあり、元気もありました。
但し、多飲多尿と便秘は続いていました。
多飲多尿については、春之進の糖尿病発症時の症状だったので、それが気になってはいましたが、検査をし、
問題ないと言われていたため、少し長く様子を見てしまいます。
「多飲多尿は病気のサイン」ということを知らなかった場合、「いつもより喉が渇くのかなぁ・・」とか、
「水の飲み過ぎで排尿が多い」と思ってそのまま放置してしまう方も多いのではないかと思いますが・・。
3/6の再診時、当然そのあたりの話を獣医師にしたのですが、「問題ないと思いますけどね・・」ということでした。
それでも変だと思ったので、次の日(3/7)にも受診し、獣医師の「無駄だと思うけど・・」という見解を押し切ってレントゲンを撮ってもらいます。
それにより、
胸水が発見されました。
もし、この日も獣医師の言われることを鵜呑みにしていたら、胸水の発見は更に遅れていました。
胸水が分かってから、血液検査でTPの値が低いことが分かりました。
初診の際の血液検査では、TPは測っていなかったということです。
私は血液検査の項目を把握していなかったのですが、初診の血液検査では、「
疑わしい病気に関係する検査はして頂いたと思って」いました。
病院へは、月・火・水・金と、4回通っていました。
低タンパク血症と診断されたことで、それの原因疾患、同じ症例がないかなどについて、独自に調べ始めました。
※ここまでのところでも、一般的な飼い主として、特別判断が遅かったとは思いません。
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3/12
下痢、体重激減 2日間で2kg→1.7kg
背骨が浮き出る。食欲にムラあり。
腸の疾患の可能性を聞くが「ないだろう」とのこと。
3/13
再診 多飲多尿・お腹の張り大、便秘
血液検査 TP=3.0 肝機能異常値は見られず
処方食は食べない→ささみ・卵白・おかゆにする
ささみは良く食べる その他は食欲あまりなし
3/16
再診 多飲多尿・お腹の張り大、
便秘(排便時は下痢混じり)
※症状、体重に変化なし
血液検査 TP=2.9
3/20
再診 多飲多尿・お腹の張り大、便秘、食欲不振
血液検査 TP=2.8
原因不明のまま→生検を決める(3/27予定)
3/22
再診 体力をつけるため、皮下点滴
3/24
再診(AM) 体力をつけるため、皮下点滴
21:00過ぎから痙攣(翌日5:00まで)
3/25
再診
血液検査 Ca=3.8mg/dl
【低Ca血症+低血糖】が痙攣の原因】
※「生検」は体力回復まで延期。。。
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TPの値が低いことで、食事療法を続けています。
タンパクは製剤で補うことができないもので、食事から摂るしかないということでした。
私は、低タンパク血症から原因疾患を調べ、「肝臓」「腎臓」「腸」の疾患が疑われることを知りました。
肝臓は最初から調べており、「問題なし」。
腎臓は「排尿があるので可能性は低い」。
腸は、「下痢を頻繁にしていないなら考えられない」という獣医師の見解でした。
食事療法によりTPの値を上げることを試み、足りていないCaを補って、同時に、薬を変えて効き目を試し、原因疾患を探る、
「対症療法」をしていました。
薬の効果はあまりみられず、生検をすることになります。
生検をお願いしたのが3/20。実施予定は3/27でした。
生検の結果は、外部検査機関に依頼するため、結果が分かるまでに10日〜2週間程度かかるということでしたので、
仮に3/27に生検が出来ていたとしても、結果が分かったのは4/6〜10頃でした。
4/6といえば、乙音が2回目の痙攣を起こした日です。
生検をお願いするのは遅かったと思います。
検査のためにお腹を切ることに抵抗があったのは確かです。
ですが、当時の状況を思い返してみると、どんなに早く生検の決断をしたとしても、3/10頃だったと思われ、
結果が出たのは3/20〜24ということになります。
3/24は乙音が最初の痙攣を起こした日です。
しかも生検は、「肝臓の組織を採取して病理検査をする」だったので、結果は「問題なし」だったはずです。
ここまでのところで、生検の決断が遅かったことはありますが、仮に早い判断をしていても、「ただ無駄に乙音の体を傷める」ことになったので、
結果論ですが、生検の決断の遅さは、原因疾患の特定・治療には関係なかったことになります。
経過観察ということで、乙音の体力の消耗をできるだけ防ぐのと、病院へ行っても特別な治療が出来ないことが分かっていましたので、
無駄に病院へ行くことはしませんでした。ですが、空けても2日で通院していました。
※ここまでのところでも、一般的な飼い主の判断としては、特別間違っていないと思います。
その後、3/24に痙攣を起こしてからは24時間体制で経過を看つつ、原因疾患について、治療について、同じ症例がないかなど、
時間がある限り調べています。
痙攣を起こしてからも、「体力を回復させて、生検を受ける」方針のままでした。それしか「原因疾患を特定する手段がない」と、
獣医師から聞いていたからです。
原因疾患を早く特定してその治療をしなければ、手遅れになってしまうと思っていましたので、とにかく体力の回復を最優先で考えていました。
※「生検しかない」というのは、「この病院でできることの中で」という意味です。
生検するには、「全身麻酔」が必要であり、それは健康でも危険が伴います。
まして、病状の悪化してしまった乙音にはすぐ受けれるものではありませんでし
た。(CTやMRIでも全身麻酔が必要)
私が大学病院への紹介を切り出すまで、獣医師側からそのような話はありませんでした。
「
手に負えないならば、当然紹介して頂けるものと思って」いました。
※動物診療は、治療費が高額になりがちです。
血液検査で全項目をチェックしなかったり、大学病院を紹介しなかったのは、
治療費の配慮があったのかもしれません。
そうだとしたら、「絶対に治したい!」という意思を伝え切れなかった私のミスです。
大学病院への紹介をお願いしたのが4/7。予約日は4/24です。
その間、乙音の病状は更に悪化してしまいましたが、予約日以前に大学病院で受診できない以上、
日々の病状を悪化させないことしかできませんでした。。
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以上の通り、
一般的な飼い主としては、特別私の判断が間違っていたり、遅かったりということはないと思っています。
私が、乙音の闘病生活から学んだこと、皆様にお伝えしたいことは、
「
一般的な飼い主ではいけない」ということです。
・獣医師の話を信用し過ぎる
・治療の方針は全て獣医師にお任せ
・自分で病気のこと、治療方法について勉強しない
・疑問に思ったことを解決しないままにする
・日々の観察をしない、少しの変化も見逃さない心構えがない
このような、「一般的な飼い主」では、私と同じことをしてしまうと思います。
自分で病気のことや治療について知っていなければ、獣医師の判断を鵜呑みにするしかありません。
極論を言えば、その獣医師が「優秀」かどうか、また「病気を絶対に治す」という熱意があるか、判断できません。
動物診療は、人間のそれとは全く比較にならないほど「遅れている」と感じています。
だから、「より高度な診察・治療のできる」大学病院等へ早急に行くことをお勧めしています。
もちろん、全てにおいてではなく、「原因が判らない」「難病」「治療が難しい」などの場合に限ってですが。
それと、動物の病気の進行は、「驚くほど早い」とも感じました。
乙音は3/24の最初の痙攣を境に、一気に病状が悪化しています。
また、発症から2週間で体重が激減しています。
「躊躇せずに判断するかしないかで、苦しみから我が子を最大限救ってあげられるかどうかが決まる」ということを、
念頭に置いておくべきだと思います。
また、「
獣医師に対し、絶対に治したい!という意志表示をすることも大切」だと思います。
「そんなこと当たり前」なはずですが、治療費の負担を配慮してしまう獣医師もいると思います。
今の私が思う、飼い主の私が出来た「最良の選択」は、
「原因不明と言われた3/7(発症12日目)に、早急に大学病院へ行くことを決め、どんな検査をしても原因疾患を突き止める」・・ことでした。
(発症12日目でも、正直遅いと思いますが・・)
もしそれができていれば、結果は違ったかもしれませんし、結果は同じだったとしても、乙音の苦しみは最低限で抑えてあげられたのではないかと思っています。
3歳頃の乙音(左)と、カメラに向いてくれない春之進
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